必ずや事に臨みて懼れ、謀を好みて成さん者なり

子路曰く、子、三軍を行(や)らば、則(すなわ)ち誰と与(とも)にせんと。
子曰く、暴虎馮河(ひょうが)、死して悔無き者は、吾与(とも)にせざるなり。
必ずや事に臨(のぞ)みて懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好みて成さん者なりと。

【大体の意味内容】
勇猛な弟子の子路が言った。「先生が三万の大軍を率いて戦うことになったとしたら、だれとご一緒に指揮を執りますか?」
先生はおっしゃった。
「虎を素手で殴り殺そうとしたり、大河を歩いて渡るような、やたらと血気盛んで、そうやって死んでも後悔しないと息巻いていながら、結局他人まで危険に巻き込むような者とは、一緒にやらない。
いざというときには、他人の生命を預かっているのだというプレッシャーに押しつぶされるほど懼れ慄き、事前によく戦略や戦術を考えて、味方の犠牲を出さないのはもちろん、敵も殺さずに目的を達成するように策を練る者と、一緒にやりたい。
(そうやって強い敵を味方にできれば、これほど頼もしいことはないではないか)。」

【お話】
「最強の敵は最高の友」といいます。
これは、手ごわいライバルと切磋琢磨しあうことで、自分自身も成長できるのだから、敵とは実は素晴らしい友人なのだ、という意味もあります。
ですが、ただそれだけではなく、じっさいに強力なライバルを味方にできれば、自分たちはどんどん豊かになっていくはずです。
自分個人をとことん鍛え上げていくことも大事ですが、同時に臆病なほど謙虚になり、全体の幸せを考えるのも必要だということなのでしょう。
自分の人生だけでなく、他人の人生についても現実味を感じとることが肝要なのです。
自分の人生を大事に精いっぱい生きるのは当然ですが、他人、つまり味方や敵の人生も尊重し、誠意を尽くしてこそ、本当の信頼関係も結べるのだと思います。