「素顔が見たい。笑顔を見たい!」
中3女子のKさんはマスクを付けたまま入会し、マスクを付けたまま卒業していきました。コロナ禍が始まる1年前のことです。この間、マスクを外す時間帯のあるイベントには一切参加しませんでした。お昼ご飯を食べる勉強会にも正月特訓にも。今、彼女が素顔で私の前に立っても、たぶんKさんとはわからないのだろうなと思います。Kさん以外にも、基本的にマスクを付けたままの生徒がちらほら出始めていました。
コロナ禍で2年たった現在、「いまさらノーマスクは嫌」という声も増えているそうです。「マスクだと2割増しでプラスに見られる。はずしたら『残念な顔』と見られるのが恥ずかしい」と。コロナ禍が終わってもマスクの目立つ社会になっているのかもしれません。
かつて、「25歳までには自分の顔に責任を持てるようになれ」とよく言われました。生まれつき美形であるとかそうでないとかに関わらず、自分にしかない味わいを出せるようになれ、ということです。自他ともに美形と認められても、深みも味もない顔ではつまらない奴だ、と。
クラウス・キンスキーというロシアの俳優がいました(写真参照)。「これほどの醜男(ぶおとこ)はいない」みたいに言われた人ですが、なぜか女性には大変モテたそうです。私生活には問題ありだったようですが、俳優としてだけでなく、映画監督としても活躍し、独自の人生観を持った芸術家だったのは間違いありません。
顔に人格とか生きざまなどいろいろなことが現れてくるのでしょう。
「個性尊重」とはあまり声高には言われなくなってきていますが、その個性がよく出る顔を隠すのはもったいないなと素朴に思います。
もちろん敢えてマスクをする人の心理にはその人にしかわからない深刻なものもあるでしょうし、何らかのトラウマも抱えているかもしれません。ですが、どんな人でも心から笑顔になれる瞬間はあるでしょうし、その笑顔を見た人が幸せな気持ちになれないことなどありません。
あなたたちの笑顔には、そんな力があることも、知っておいてください。
そう言えば、みんながマスクをするようになってからは、あまり教室風景の写真を撮ってないかなと気がつきました。早くみんなの素顔が見たい。笑顔が見たいですね。
素顔が見たい。笑顔を見たい!