君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず

論語 子路第十三 二三

子曰く、
君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。

【大体の意味内容】
先生はおっしゃった。
「立派なリーダーは、それぞれ異なった個性を尊重して、全体を調和させ、素晴らしさを最大限に発揮させる。
まちがってもそれぞれの個性を否定して、皆が単一単調で、まったく同じになるように強制することはない。
くだらない小人というべきリーダーは、それぞれの違いを認めず自分にとって都合のよい画一的なメンバーになることを要求する。
異なった個性たちを調和させようという努力はしない。」

【お話】
音楽で考えるとわかりやすいです。
楽団のメンバー全員が、例えばリコーダーという同じ一つの楽器だけをもって同じ音階で演奏するのと、それぞれ違った楽器をもったオーケストラの演奏と、どちらが素晴らしいでしょうか。

言うまでもありませんね。

もちろん全員が勝手気ままに音を吹き鳴らしては、それは単にやかましいだけの騒音になってしまいます。

大事なのは、それぞれの楽器の音色(ねいろ)や音域といった個性を生かしつつも、美しいハーモニーになるように役割分担もし、
調和した演奏になるように導くことです。

そうすれば演奏している本人たちも恍惚(うっとり)するような、素晴らしい音楽となるのです。

特にモーツアルトやベートーベンが得意とする「カデンツァ」では、それぞれの楽器が勝手気ままに即興(そっきょう)演奏」しているようでいて、
実は高度に調和されたハーモニを創造しています。
日本の古典音楽である雅楽は、そのほぼすべてが「カデンツァ」といっても過言(かごん)ではありません。

学校でこれから新年度を迎えると、部活その他の場面でみなさんもリーダー的な役割を担(にな)うことが多くなるでしょう。

そのときに苦労してでも「和して同ぜず」を意識してみてください。

うまくいくかどうかは別として、きっとあなたが大きく成長する機会(チャンス)とはなることでしょう。