「子(し)曰(いわ)く、其(そ)の以(な)す所(ところ)を視(み)、其(そ)の由(よ)る所(ところ)を観(み)、其(そ)の安(やす)んずる所(ところ)を察(さっ)すれば、人(ひと)焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや。」(『論語』為政第二-十)
【大体の意味内容】先生はおっしゃった。「その人の行いを見ること。その人の信念を見抜くこと。その人が満足する到達点を洞察すること。そうすることで、その人の本質が隠れることなく露わになってくる。」
毎日の授業前に、必ず生徒たちと古典名文の素読を行っていますが、これは他人を評価する観点として実に鋭い指摘だと思います。
とくに
「其の安んずる所を察す」るとは
恐るべきトリガーポイントの発見だと思います。
「トリガーポイント」とは、教室近所の「はな接骨院」の名医師から教わった言葉ですが、「銃砲の引き金のような最大効力を発揮するツボ」というほどの意味かと思われます。
単なる点数や成績・業績などといった表面的なことではなく、その人が究極的に求める安心立命の境地とはどのようなところなのか。
それを洞察できれば、確かにその人物の本質的価値が丸見えになるでしょう。
逆に言うと、自分自身の行いや信念理念、そして自分が「安んずるところ」を自身で洞察してみるべきことを述べているのだと思います。
きっと今の自分とは、他人に見抜かれてはたまらない、恥ずべきレベルでしかないはず。自分の安んずるところを知られては、到底自分の恥を隠すことなどできないからです。