「日本の教育が売られる」に待った!

(校舎だより『FlyingSeeds』2020年1月号より)
2020年度開始の大学入学共通テストでの、国語と数学の記述問題導入の見送りが決まりました。この採点業務をベネッセに請け負わせる決定自体が、なんともきな臭かった。
そもそも英語民間テスト導入自体が、利権絡みの「入試改革」であることを告げていました。東京大学の阿部公彦(まさひこ)教授をはじめとする多くの識者たちが、これは「入試の民営化」であり「外資への売却」だという観点の批判もされていました。折しも堤未果(つつみみか)著『日本が売られる』が、現政府によって日本の「種子」や「水道」などの公的資源が「民営化」の形で次々に外資へ売り渡されようとしている、と警告し、ベストセラーに。「入試改革、いや教育そのものについても、同じ方程式が立てられているのではないか」と疑わざるを得ませんでした。
批判の大合唱が上がっても採点業務をベネッセに請け負わせようとする意味は?
大株主を調べたら、筆頭株主はベネッセ創業家の福武財団とかではなく、「日本マスタートラスト信託銀行」。聞いたことのない銀行名でしたが、この銀行は何と三菱重工やトヨタ自動車、電通、フジテレビ等々、日本の上場企業ほとんどすべての大株主だったのです。しかもやはりというか、「日本マスター…」という企業名に変更する前は「ドイチェ・モルガン・グレンフェル信託銀行」でした。その前は「チェース・マンハッタン信託銀行」、要するにモルガン財閥です。ロスチャイルド家やロックフェラー家とも姻戚(いんせき)関係を結ぶ超大富豪。米国FRB(連邦準備銀行)を設立し、大株主となっている面々。即ち「ドル発行権」を握ったドルの支配者。
ひょんなことから、日本の企業・経済界はそのほとんどが、外資によって支配されていたことまで知ってしまいました。大学入試利権を獲得すれば、当然高校から幼稚園まであらゆる世代の教育産業市場をほぼ独占できます、「対策」商品販売で。ベネッセはもちろん、その背後の人々は笑いが止まらないはずだったでしょう。日本では不況でもなんでも、教育への投資だけは途絶えることのない、安定的な供給源ですからね。
高校生たちが怒りの声を上げ、何とかギリギリ、日本の教育が売られることには「待った」がかかりました。でも油断は禁物です。現政権にとって、かくも執念深く日本を売りまくることで得られる真の利得(メリット)とは何でしょうか?命のインフラが奪われても、彼らの家族や子孫に影響はないというのでしょうか? 根本を押さえなければ・・・