(授業前の素読 言志四録八)
昨の非を悔ゆる者は之れ有り、
今の過ちを改むる者は鮮(すく)なし。
得意の時候は、最も当に退歩の工夫を著くべし。
一時一事も亦皆亢龍有り。
凡そ遭う所の患難変故、屈辱讒謗(ざんぼう)、払逆の事は、
皆天の吾才を老せしむる所以にして砥礪(しれい)切磋(せっさ)の地に非ざるは莫し。
君子は当に之に処する所以を慮(おもんぱか)るべし。
徒(いたず)らに之を免れんと欲するは不可なり。
【大体の意味内容】
過去の非を後悔反省する人はあるが、現在の過ちを潔く改める人は少ない。
願いがかなえられた時こそ、調子に乗らず一歩引く工夫をするべきである。
一時代を築き、一つの事業を成し遂げたときには必ず「亢龍の悔い」があるのだと弁(わきま)えよ。
つまり昇りつめた龍は、一気に転落し身を滅ぼすこともあるのだということを。
我々に見舞われる悩み苦しみ、大変な事故、屈辱的な目に遭ったり悪し様に罵られたり、逆境にさらされたりすることはすべて、
天が我々の才能を老熟させようとしていることなのである。
いずれも我が心身を研ぎ澄まし、切磋琢磨する資(たすけ)とならないものはない。
リーダーとなる者はこうした艱難(かんなん)辛苦(しんく)に対処する工夫を熟慮すべきである。
せっかく天が与えてくださった機会から逃れようとするのは、よくない。
【お話】
私自身も含めてですが、「あー、あの時もっと勉強しておけばよかった!」と悔やんで、今現在も勉強しない。
そういう人がいかに多いことか。
人生長いのですから、過去に不足したことはまだこれからいくらでも取り返せます。
今を全力で生きましょう。。