与に立つべきも、未だ与に権るべからず

子曰く、与に共に学ぶべきも、未だ与に道に適くべからず。与に道に適くべきも、未だ与に立つべからず。与に立つべきも、未だ与に権るべからず。

【大体の意味内容】
先生はおっしゃった。「学ぶ志をともにする仲間であっても、あるいはたまたまクラスメイトであっても、選ぶ道が同じであるとは限らない。たとえ同じ道を選んで歩む仲間であっても、ともに事業を起こすとは限らない。また、ともに事業を起こした仲間であっても、同じものを重んじるとは、限らない。」

【お話】
この後続けてこう述べられています「唐棣の華、偏として其れ反せり。豈爾を思はざらんや。室是れ遠しと。子曰く、未だ之を思わざるなり。夫れ何の遠きことか之れあらんと。」(「にわ梅の花びら うつつともなく散りゆく 思いわび道に出ずれど あまりに遠し 汝が家」この歌を聞いて、先生はおっしゃった。まだまだ本当に恋しているとは言えない。乞う気持ちがあれば、「遠い」などという感覚すら感じないものだ。)。身近にいても、ほんとうに同じ思いを抱き、同じものを目指している朋と邂逅うのは難しい。また遠距離恋愛は難しいとよく言われるが、ほんとうに恋しあっている仲ならば、距離など関係なく邂逅えるものだ、ということなのでしょう。恋愛に限らず、友達同士であっても、どれだけ真摯に生きているかによって、関係の濃淡が生じるものです。謙虚な気持ちを持って、「自分以外は皆、自分の先生だ」と考え、良い点を学ぼうとすれば、どんなに遠い存在であっても、あるいは遠い過去の存在であっても、濃厚に出会い、交わることができます。逆に、他人から学び取ろうとする気持ちがないならば、身近にいてもほんとうには出会えておらず、何も得ずに終わってしまうかもしれません。もったいないことです。他人の欠点をあげつらうのはたやすい。それよりも、良いところを見つけて尊敬する方が、意義深い関係を築けるし、自分にとっても有益です。