『戦争のつくりかた』のページがめくられている今

 「新しい戦前」(タモリ)というキーワードが不気味に流行しています。政府が閣議決定で、いわゆる「安保3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を改定し、これまでの倍以上の大軍拡を推し進めようとしていることを受けてのものでしょうが、それほどマスコミでもセンセーショナルには扱っていない印象を受けます。反論したり、揶揄(やゆ)したりする場面はあっても、どこか「のどか」な感じなのです。この奇妙なのどかさ、これこそがまさに「戦前」のリアルだったのではないか。「日中戦争」「太平洋戦争」を私自身が実体験したわけではありませんが、何だかそういう嫌な予感がします。
 2004年に『戦争のつくりかた』という絵本が自費出版されました。これが静かなブームとなって版を重ね、アニメ化もされてYouTubeですぐにみられます。3年ほど前に授業前に生徒たち全員に見てもらいました。保護者の皆様もぜひぜひご覧ください!10分程度です。
戦争のつくりかた – YouTube
 改めて読み返してみて、まさに今現在、この絵本の内容にそってこの世のページがめくられつつあるのを実感しました。冒頭の前書きのあと、「たとえば、こんなことがおこります。」と以下のように始められます。
「私たちの国を守るだけだった自衛隊が、武器を持ってよその国に出かけるようになります。世界の平和を守るため、戦争で困っている人々を助けるため、と言って。せめられそうだと思ったら、先にこっちからせめる、とも言うようになります。」
まさに「現在」起きていることです。
 こうして権力者たちの思惑通りに世の中の決まりや仕組みが作られて行き、私たちや子供たちが戦争に協力し、人を殺したり殺されたりするようになっていく様が、静かな語り口ですが重い切迫感を持って紡ぎだされています。
 2004年段階ではまだ法案であったり、法案でさえなかった防衛関係の法律が、次々と国会を通過し、今回の大軍拡決定にまで至りました。あとは「憲法」を改正すれば完成なのでしょう。
 「緊急事態条項」が成立すれば、あのヒトラーが苦心して獲得した「全権委任法」を、現政権がく手に入れたも同然となります。こうして「徴兵的」な動員も可能となる。
 「新しい徴兵制」は、男子だけではなく、女子も対象となりうることは、アメリカ軍の例を見れば明らかです。当然日本もそれに倣うでしょう、ドローン操縦とか情報戦とか、女子でも「活躍」できる場はたくさんあるのです。そんな日本が近づいてきましたが、どうしましょう?