『カッコイイ』イメージに騙されるな

 12月12日発表の「今年の漢字」は「戦」。折しも、韓国の人気グループ「BTS」のJIN氏が兵役義務を果たすために入隊したとの報道もされました。「丸刈りにしてもカワイイ」とか、やっぱりカッコいいとか、繰り返し報道されています。これによって日本の若い世代の間で「徴兵制」について容認するムードができてしまわないか、気がかりです。
 戦前の日本に、「」という、昭和版「」とでも呼ぶべき事業が存在したことを、恥ずかしながら最近知りました。1932年(昭和7年)の満州国の建国から敗戦時に至るまで、「満州」への日本人農業移民事業の一環として、13~18歳の少年たちも開拓民として送り込まれました。「青少年移民」と言わず「青少年義勇軍」と称したところ、軍国主義的気風が高まっていた少年たちを刺激し、志願する生徒がたくさん出たそうです。学校現場でも、毎年1万人を現地に送り込むよう教師たちにノルマが課されていて、積極的に生徒たちを送り出していたとか。写真の通り、まだあどけない彼らの笑顔が印象的です。満州国北部、ソ連との国境線付近へ送り込まれた彼ら約8万6千人のうち、なんと8万人が終戦時のソ連軍侵攻その他の混乱の中で凄惨な最期を遂げてしまいました。ソ連軍の攻撃や地元住民らの暴力で殺されることもあれば、生き延びても逃避行の最中に凍死したり、年長者に食料を取り上げられたり虐待されたりして、力の弱い年少者から順に命が尽きたり、味方に殺されたり、言語道断のに見舞われていたようです。「義勇軍」という「カッコイイ(イメージの)」組織の一員になっても、実態はこのようなものなのです。「国策」によって幼い生徒たちを死地に送り込んでしまった教師たちのの声も、たくさん出てきます。悔やんでも悔やみきれるはずがありますまい…
 令和の連立政権が大軍拡を目論む「国家安全保障戦略」が改定へとを切りました。政権が狙っているのは何らかの形での徴兵的動員を可能にする体制であるのは明らかです。着々とステップを踏んでいる状況です。「敵基地攻撃能力」の議論をする大人に、ある賢い子供が言ったそうです。「日本が敵の攻撃を防ぐ攻撃の準備をし始めたら、それを知った敵も日本を攻撃していいってことになるね。」そういうロジックの連鎖に、わざわざ身を置くことになります。